プリントの風合い徹底比較! 染み込み(顔料)、ハーフラバー(半ラバー)、ラバープリント

染み込み、ハーフラバー、ラバー、それぞれのプリントの見え方の違いは?質感は?発色は?

濃色アイテムに白インクでプリントすると発色がよくないって言うけど、どれくらいよくないの? そんな声を多数いただきましたので、できる限り、わかりやすく解説していきます。

デジカメで接写撮影しているため、写りに多少の色ムラなどがありますが、ご了承ください。なんとなく質感や雰囲気が伝われば幸いです。

プリント比較・風合いの画像一覧

各プリント技法の見え方の一覧です。
画像をクリックすると大きく見れます。
  染み込み ハーフラバー1周 ハーフラバー2周 ラバー1周 ラバー2周
白い生地×黒プリント 1-siro-to-kuro-shimikomi 2-siro-to-kuro-halfrubber 3-siro-to-kuro-halfrubber2 4-siro-to-kuro-rubber 5-siro-to-kuro-rubber2
白い生地×赤プリント 11-shiro-to-aka-shimikomi 12-shiro-to-aka-halfrubber 13-shiro-to-aka-halfrubber2 14-shiro-to-aka-rubber 15-shiro-to-aka-rubber2
黒い生地×白プリント 21-kuro-to-shiro-shimikomi 22-kuro-to-shiro-halfrubber 23-kuro-to-shiro-halfrubber2 24-kuro-to-shiro-rubber 25-kuro-to-shiro-rubber2
黒い生地×赤プリント 31-kuro-to-aka-shimikomi 32-kuro-to-aka-halfrubber 33-kuro-to-aka-halfrubber2 34-kuro-to-aka-rubber 35-kuro-to-aka-rubber2
  • プリント画像のマスの大きさは「3cm×3cm」となっております。
  • 2周とは2回刷りのことです。1度プリントを刷って、インクを乾かし、乾いたインクの上からもう一度プリントすることにより、インクに厚みをもたせます。
  • プリント実験に使った生地は、「4.0オンスの32/-天竺」です。生地が変わればインクの質感、発色は当然変わります。そこをご理解の上、ご覧くださいませ。

白い生地 × 黒プリント

染み込みプリント

生地の織り目もしっかり見えております。手で触った質感も柔らかく、インクが付着している感じはありません。

1-siro-to-kuro-shimikomi

【拡大】生地にインクが染みこんでいます。インクが生地の表面にのっている感じはないのが画像から見てわかります。

6-shiro-to-kuro-shimikomi

ハーフラバー(半ラバー)1周

染み込みよりも、少し光沢が見えます。つまりインクが表面にのっているということです。ただし、染み込みとラバーを混ぜたインクですので、ラバーよりは柔らかい質感です。

2-siro-to-kuro-halfrubber

7-shiro-to-kuro-halfrubber

【拡大】少しだけ糸と糸の間にインクが付着しているのがわかります。

ハーフラバー(半ラバー)2周

ハーフラバー1周よりもさらに光沢が増しています。その分インクが付着しているということです。質感も少し固くなってきてます。

3-siro-to-kuro-halfrubber2

【拡大】糸と糸の間にもしっかりとインクが入りこんでいるのがわかります。

8-shiro-to-halfrubber2

ラバー1周

ハーフラバー2周と見た目、質感の違いはほとんどありません。少しだけラバーのほうがカサカサと言うか、乾いた感じです。でも本当に微妙にです。

4-siro-to-kuro-rubber

【拡大】インクの目の詰まり方もハーフラバー2周に非常に近い感じです。

9-shiro-to-kuro-rubber

ラバー2周

インクがべったりと生地表面に付着しているのがわかります。

5-siro-to-kuro-rubber2

【拡大】かなりの密度でインクが付着しています。糸の毛羽感も皆無です。染み込みと比べると歴然ですね。

10-shiro-to-kuro-rubber2

白い生地 × 赤プリント

染み込みプリント

生地目がハッキリ見えます。質感も柔らかいです。生地の風合いを活かすなら染み込みプリントが1番です。

11-shiro-to-aka-shimikomi

【拡大】糸の質感がハッキリとわかります。インクが付着しているという感じもありません。

16-shiro-to-aka-shimikomi

ハーフラバー(半ラバー)1周

遠目に見た場合は染み込みと大差ありません。触った時に少しカサカサします。

12-shiro-to-aka-halfrubber

【拡大】染み込みに比べ、すこし粘っこいような感じにみえます。糸の感じや、毛羽感もまだ見えます。風合いはラバーに比べて柔らかいです。

17-shiro-to-aka-halfrubber

ハーフラバー(半ラバー)2周

インク量が多いので光沢感がでてます。ハーフラバー1周のほうが乾いた質感です。ハーフラバー2周は、少しだけタック感があります。

13-shiro-to-aka-halfrubber2

【拡大】糸すべてにインクが付着しているように見えます。

18-shiro-to-aka-halfrubber2

ラバー1周

パっと見た感じは、ハーフラバー2周との違いがあまりないです。触った質感は、ラバー1周のほうが少しだけカサカサした感じです。

14-shiro-to-aka-rubber

【拡大】拡大でみると、ハーフラバー2周との差は、ほとんどわかりません。

19-shiro-to-aka-rubber

ラバー2周

パッと見で、インクが生地にのっているのがわかります。質感もベタッとして、しっかりインクがのっている感じです。

15-shiro-to-aka-rubber2

【拡大】糸と糸の間にインクがしっかり入りこんでいます。生地の毛羽感も見えません。

20-shiro-to-aka-rubber2

 

黒い生地 × 白プリント

染み込みプリント

白いインクでプリントをしてますが、グレーに見えます。つまり生地の色にインクが負けている状態です。写真よりも実物のほうがもっとグレーっぽいです。

風合いは柔らかいですが、質感は少しだけカサカサしてます。インクを発色させるためにバインダーを混ぜているためです。

黒などの色の濃いアイテムに染み込みプリントが合わないと言われる理由は、画像を見てわかっていただけますでしょうか?

どうしても柔らかくプリントしたい場合は簡易抜染プリントになります。ただ、濃色生地に色負けしたインクの風合いを好まれるお客様もおられます。

下地が透けるため、1枚1枚のプリントの濃淡の個体差がでやすいです。その点が注意ポイントになります。

21-kuro-to-shiro-shimikomi

【拡大】糸と糸の間に顔料が付着しているため白く見える部分とそうでない部分がみてとれます。

26-kuro-to-shiro-shimikomi

ハーフラバー(半ラバー)1周

染み込みプリントより、白が強くなりました。白の濃い部分、薄い部分が、まだらに見えます。

触感はラバーに比べれば柔らかいですが、少しカサカサ感はあります。ある程度発色良く、生地の風合いも犠牲にしたくない場合はハーフラバーがベストかもしれません。

生地色が透けるため、1枚1枚のプリントの濃淡の個体差がでやすいです。その点が注意ポイントになります。

22-kuro-to-shiro-halfrubber

【拡大】インクがのっているのがわかります。たくさんインクがのっているところ、そうでないところの差がハッキリわかります。それがまだらに見える原因でもあります。

27-kuro-to-shiro-halfrubber

ハーフラバー(半ラバー)2周

ハーフラバー1周よりも、だいぶ白くみえます。この写真ではわかりづらいですが、実際はもう少し生地が透けてみえます。触感はラバー1周と同等です。

生地との相性によってはハーフラバー1周くらいの見え方になります。

下地が多少透けるため、1枚1枚のプリントの濃淡の個体差がでやすいです。その点が注意ポイントになります。

23-kuro-to-shiro-halfrubber2

28-kuro-to-shiro-halfrubber2

【拡大】糸と糸の間にしっかりインクが付着しています。ですが糸の繊維がまだ少し見えます。

ラバー1周

見た目、質感ともに、ハーフラバー2周とほとんど差がありません。本当に少しだけ、ラバー1周のほうが白い感じです。

写真では結構真っ白に見えますが、生地との相性によってはハーフラバー1周くらいの見え方になります。

生地色が多少透けるため、1枚1枚のプリントの濃淡の個体差がでやすいです。その点が注意ポイントになります。

24-kuro-to-shiro-rubber

【拡大】拡大するとよくわかります。ハーフラバー2周よりも少しだけインクが多くのっているのが。

29-kuro-to-shiro-rubber

ラバー2周

ラバー2周だと、ほぼ真っ白になりました。生地よっては2周でも真っ白にならない場合もあります。質感はインクがバッチリのっている感じになります。

25-kuro-to-shiro-rubber2

【拡大】糸の毛羽感もありません。しっかりインクがのっています。

30-kuro-to-shiro-rubber2

黒い生地 × 赤プリント

染み込みプリント

真っ赤なインクでプリントしてますが、くすんだ赤に見えます。質感は柔らかいですが発色はよくありません。

31-kuro-to-aka-shimikomi

【拡大】表面にうっすら顔料が付着している感じです。

36-kuro-to-aka-shimikomi

ハーフラバー(半ラバー)1周

染み込みプリントよりも、発色はよくなっています。赤が濃く見える部分と、薄く見える部分があり、全体的にまだらに見えます。触感は少しカサカサします。

32-kuro-to-aka-halfrubber

【拡大】拡大してもまだらに濃い部分と薄い部分が見えます。

37-kuro-to-aka-halfrubber

ハーフラバー(半ラバー)2周

だいぶ赤く見えるようになりました。ほんの少しだけ、黒い生地の影響が見えます。

33-kuro-to-aka-halfrubber2

【拡大】糸と糸の間にしっかりインクがのっているのがわかります。

38-kuro-to-aka-halfrubber2

ラバー1周

見た目、質感とも、ほとんどハーフラバー2周と差がありません。赤いプリントだったらほぼ一緒といってもいいくらいです。

34-kuro-to-aka-rubber

【拡大】拡大してみてもハーフラバー2周とほぼ同じです。

39-kuro-to-aka-rubber

ラバー2周

ラバー2周で、やっと真っ赤にプリントされた感じになりました。インクも生地表面にしっかりのっています。

35-kuro-to-aka-rubber2

【拡大】毛羽感もなく、インクがべったりのっています。

40-kuro-to-aka-rubber2

【おまけ】同色生地に、同色プリントしたらどうなるの?

白い生地に白インクをプリントした場合です。染み込みはグレーっぽく見えますが、実物はそこまでグレーっぽくはありません。

画像をクリックで大きくみる

黒い生地に黒インクでプリントした場合です。グレーぽく見えますが、写真だと光を反射して上手に写すことができませんでした。実物はもう少し黒っぽい仕上がりになります。インクは黒だけど、文字としては認識できるようなイメージとなります。

画像をクリックで大きくみる

動画で確認

同色生地へ同色プリントですと、光の反射でどうしても写真でうまくイメージを伝えることが難しいです。少しでも伝えれるように動画にしてみました。が、動画でも黒生地に関しては反射してしまって、実物よりはグレーぽく見えてしまっています。少しでも参考になれば幸いです。

白い生地と白いインク
黒い生地と黒いインク

最後に

インクの種類でプリントの見え方が変わるのが少しでも伝わったでしょうか?

最初に書きましたが、生地が変わればインクの発色などは変わります。「染み込みだと、こんな雰囲気なんだー」 「ラバーだと発色がいいね」 なんとなくの雰囲気で、プリントの特性が伝わればいいかなと思います。

例えばPANTONEやDICなど、同じ色番号でも、プリント技法が違うと色の見え方は変わります。例えば、染み込みプリントは、生地の影響や職人の刷る力加減で1枚1枚誤差が出やすいです。

また、プリントするデザインでもインクの濃い薄いは変わってきます。たとえば比較的ベタが多く細かい線などがないデザインは版のメッシュが粗いのでインクが落ちやすいです。逆に細い線や細かい文字などがあるデザインは版のメッシュが細かくなるのでインクが落ちにくくなるので色が薄くのりやすいです。様々な要素が合わさってプリントは作られています。

丸昇は機械でプリントしているのではなく、職人一人ひとりが手刷りでプリントしているため、そのあたりもご考慮いただく必要があります。(手刷りプリントは奥が深く難しいのです。。。)

厳密にいうと、丸昇は、水性顔料インクをメインとしたプリント工場です。 プリント工場によって、油性インクをメインとした工場もあれば、染料をメインとした工場もあります。 メインとなるインクが変われば、見え方、発色も大きく変わります。 あくまで、丸昇でプリントした場合の実験結果です。プリント工場ごとに結果は変わってくることをご理解よろしくお願いいたします。